なぜヤマト運輸は「他社より高い運賃」でも契約出来てきたのか?

価格競争が激しい運送業界でヤマトの運賃はなぜ高いままなのか?

「宅配便業界はコモディティ化が進んだ、価格競争が起きやすい業界だ」という事を昨日から書いていますが、今日は宅配便業界のシェアの話しと、今後の動向などを書こうと思います。

まず、物流業界の話をすると、最も理想的というか効率的な方法は、大企業の工場へトラックを横付けして、大量の荷物を積み込み、大量の荷物を一ヵ所に届けるというスタイルでしょう。

大口顧客の荷物でトラックを満載するのは、小口荷物を集めて満載するのに比べると、はるかに楽で効率的ですからね。売り上げも利益も上げやすいです。

けれども、考える事は皆同じ。競合が多く価格競争になってしまうのです。

実は「ヤマト運輸」も、そんな価格競争に巻き込まれてしまった企業の1つでした。しかし、そんな状況から脱するべく、1976年に、それまで郵便小包しかなかった個人向けの宅配事業に、民間企業として初めて参入したのが「ヤマト運輸」だったのです。

宅配事業で革命を起こすヤマト運輸

小口荷物の場合、競争も激しく常に値引きのある大口荷物に比べ、1個当たりの利益率は確かに高い。ただしこのやり方は、荷物を集めるのに、とても手間がかかりますよね。

しかし「ヤマト運輸」は企業の大口契約を次々と終了し、宅配便事業に背水の陣で臨んだのです。その結果、1980年代には郵便を抜き宅配便市場でNo.1になりました。

その後、佐川急便や西濃運輸、福山通運も「宅配便事業」に参入してきますが、ヤマト運輸はシェアNo.1を守っています。

2015年度 宅配便市場のシェア状況

宅配便

 

もちろんこの45%というシェアを獲れたのには、ちゃんとした理由があります。実はヤマト運輸って、あまり知られていませんが、他のライバルとは違う戦略を採っているんです。

例えば配送を支えるネットワークの構成は佐川急便と比べて大きく違います。

ヤマトが国内に約4,000の営業拠点を持つのに比べ、佐川は400程度しかありません。また、配達員の数も佐川急便の倍以上います。

配達員のほとんどが社員であるヤマトでは、配達する荷物が増えるほど効率が上がるという訳です。

これは、宅配便に集中して成長してきたヤマト運輸だからこその独自資源と言えるでしょう。(佐川の場合は企業間取引がベースとなっています。)

皆がよく使っている「宅急便」という言葉を考えたのもヤマト運輸。

宅急便

あの「魔女の宅急便」はヤマト運輸もスポンサーなんだそうですよ。

また、スキー宅急便、ゴルフ宅急便、クール宅急便、代金引換、荷物追跡システム、翌日配送などの今では一般的になったサービスも、一番最初に始めたのはヤマト運輸でした。

ヤマト運輸は、

「荷物を送る人もお客様 荷物を受け取る人もお客様」

「サービスが先、利益は後」

という言葉からも分かるとおり、徹底的に個人のお客様の方を向いて成長してきた企業なのです。

・・・と、通常なら「ヤマト運輸ってすごいね。」で話は終わるのですが、残念ながらそうはいきません。

EC市場のさらなる拡大は間違いない状況で、宅配便の市場はますます広がっていくでしょう。しかしそこで勝ち残るのが「ヤマト運輸」とは限らないのです。

私は個人的にもヤマト運輸の戦略と、お客様の方を向いた姿勢は素晴らしいと思うし好きです。しかしドラフトでは2014年を期に、「ヤマト運輸」から「郵便+佐川」にスイッチしています。

明日はそのあたりの理由について書きたいと思います。

続き 宅配便業界はまさに三国志状態。どこが勝ち残る?

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